高度生殖補助医療
当院では、体外受精、顕微授精、凍結胚移植などの高度生殖補助医療を行なっております。
当院では、体外受精、顕微授精、凍結胚移植などの高度生殖補助医療を行なっております。
卵と精子を体外に取り出して、シャーレの中で混ぜ合わせて受精させて、分割した受精卵(胚)を子宮の中に戻す方法が「体外受精」です。
体外受精は、まず排卵誘発剤を使って、複数の卵子を成熟させて採取します。
採卵は、腹腔鏡で採取する方法もありますが、膣から超音波の機械を挿入して採取するのが一般的です。
採取した卵子と精子は、培養器内で混合して受精を待ちます。
受精卵が分裂を繰り返して、4細胞期前後の状態になったところで、チューブで吸引して子宮内に移植します。
成熟卵胞あたり、採卵できる率が約70%、さらに受精できるのは採れた卵子の約70%ほどです。
いい状態の受精卵が数個できれば、多胎を防ぐために体内に戻す受精卵は3個までに制限することが多くなっています。
移植あたりの妊娠率は20%強ですが、流産や子宮外妊娠の頻度は自然妊娠よりやや高く、無事に赤ちゃんを出産できるのは体外受精1回につき約15%程度です。また、母体が高齢になると妊娠率が低下します。
そもそも体外受精は、卵管が完全に閉塞していたり、子宮外妊娠で卵管をとってしまったりして、自然な形での妊娠が不可能だった女性のために考えだされた治療法でした。
やがて、このような卵管障害以外の不妊症にも、体外受精が応用されるようになってきました。
現在では体外受精が治療法として適している不妊原因としては、男性女性双方にいくつか考えられます。
男性の側の原因としては、精子の数が少ない乏精子症や、運動率が悪い精子無力症、精液中に白血球がまじる膿精液症があげられます。
精液の状態によっては、まず人工授精を試みることも多いのですが、人工授精を6~7回続けても妊娠に至らない場合は、体外受精を考える必要もあるでしょう。
女性の側の原因としては、抗精子抗体が陽性の人は、体外受精のほうが明らかに妊娠率が高いことがわかっています。また、原因のわからない機能性不妊も対象になります。
ところで、体外受精の目的は「妊娠」ですが、このほかに「検査」としても大きな意味を持っています。
体外受精では、精子が通り抜けやすい状態の透明帯に包まれている卵であるかどうか、精子の運動能や受精能は十分かどうかをチェックすることができます。体外受精で、初めて「受精障害」という不妊原因がわかることもあるのです。
体外受精では、培養器の中で、精子は自分の力で卵子に入り込み、受精します。これに対して、顕微鏡下で、精子が卵子に入りやすくしたり、実際に精子を卵子の中に送り込むのが顕微授精です。
精子の運動率が極端に悪い場合や、数が非常に少ないなどのケースで行うことになります。カップルが受ける処置は、基本的には体外受精と同じです。
顕微授精は、卵子の周囲の透明帯に穴をあける透明帯貫通法(PZD)、卵子の囲卵腔というすき間に精子を入れる囲卵腔内精子注入法(SUZI)、卵子の細胞質内に精子を入れる卵細胞質内精子注入法(ICSI)の三つの方法がありますが、現在ではICSIが一般的です。
妊娠率は体外受精よりやや劣る程度です。ただし受精はしても、妊娠に至らないことも少なくないようです。
重度の乏精子症や精子無力症、精子の奇形率が高い場合は、精子の運動能や受精能に問題があると考えられるので、顕微授精を行います。
最低1匹の精子が見つかればICSIを行うことができます。
通常の精液検査では精子数がゼロでも、遠心沈降の処理をして、精子が1匹でも見つかれば、妊娠に結びつけられることもあります。
顕微授精では、精子が透明帯を通り抜けたり、卵の細胞質膜を突き破る必要がないので、運動能や受精能の足りない精子や、精巣上体や精巣から採取された精子でも、受精させることができます。
卵巣から採取した卵子は、周囲にくっついている卵丘細胞を取り除いてきれいにしてから、顕微鏡下でピペット(ガラス管)で固定します。先端の鋭い別のピペット内に精子を1匹吸い込んでから、透明帯や卵細胞質膜を突き破って細胞質内に精子を注入します。
受精が起きたあとの手順は、体外受精の場合と同様です。培養器の中で良好な胚に分割したら、2~3個をチューブで子宮腔内に戻して、着床を待ちます。
外受精で良好な受精卵が多数できた場合、凍結保存して、自然周期やホルモン補充周期に胚移植する方法です。
卵を育てる為に使用される薬剤は、胚のベッドとなる子宮内膜を育ちにくくするという反面を持ち合わせます。
そのため、胚を凍結保存することは、以下の点で有用です(凍結の有用性)
従来の胚凍結法は、前核期~4細胞期胚に行われます。その蘇生率は前核期胚凍結が一番良いとも言われています。
通常、胚移植は2~3日目2~8細胞期胚で行われますが、これを更に培養、5日目で初期胚盤胞になったところで急速凍結ガラス化法Vitrificationによる凍結を行い保存。 これを融解・胚移植します。
胚の選別
形態的な良好胚であっても2~8細胞期にその成長を止めてしまうものがあります。
多胎妊娠の防止
胚盤胞移植は、妊娠の確率が高いので移植は1~2個。したがって3以上の多胎妊娠を防止することが可能です。
全ての胚が胚盤胞になる訳ではございません
数少ない胚の場合、移植できない可能性もございます。
培養期間の長期化
その管理が繁雑となります。
従来不可能であった桑~実胚胚盤胞胚の凍結が可能です。
当院では、胚の選別・子宮内膜との同期化を考え、通常3日目8細胞期に胚移植を行っています。
ここで移植しなかった余剰胚は従来の凍結法では蘇生しない為、保存ができません。この余剰胚を、更に追加培養することにより成長する胚か否かを見極めて保存することが可能です。
蘇生率が良い
従来、凍結胚の蘇生率は65%と言われていますが、ガラス化法では、ほぼ100%に近いと言われています。
体外受精が当たり前の治療法として確立された今日においても、残された問題は数多いです。
目的は“赤ちゃんを抱くこと”にありますが、その妊娠率(成功率)は全国平均がまだ3割に届いていません。
我子を望まれるご夫婦が、多額の費用と時間を費やし望まれる治療に対し私達が日々考えることは“より安全に・より成功へ”に結びつきます。
当院スタッフ一同 “いいお産・感動的な赤ちゃんとの対面” をしていただくことに日々奮闘しております。
1組でも(1家族でも)多くの方々に、新しい生命誕生の喜びを味わっていただけるように進めて参ります。